土用の丑(うし)の季節がやってきます。夏バテに「うなぎ」を食すとよいことは昔から知られていたようです。一説には、その推奨者が平賀源内、そうエレキテルなどを発明した方です。「本日土用丑の日なり夏やせによし」うんぬん。
うなぎの養殖が始まったのは明治30年ころといわれます。もちろん川や海などで天然ものが捕れていたことは間違いのないことで、うなぎの蒲焼は千年の歴史がある。東京深川に住む鮮魚商、淡水魚の養殖を営んでいた服部倉次郎が、浜名湖を見て「ここしかない」とうなぎの養殖を浜名湖で始めた。汽水湖という条件に合致したのでしょう。これがうなぎといえば、浜松・浜名湖といわれる所以なのです。
うなぎの調理方法には関東風と関西風があります。単純化すると、関東風(江戸焼き風)は背開きで蒸す、関西風は腹開きで蒸しなしということ。江戸では切腹につながるというので腹開きをきらったという説もあります。浜松は関東、関西の中間なので両方の店がある。
私どもの事務所やインフォメーションセンターでよく聞かれるのが「どこの店がうまいですか」というもの。時間がない場合には、駅周辺のお店をいくつか紹介することになります。私が聞かれたら「井戸のあるお店」を推奨します。井戸水で何日か活かしたうなぎはどろ臭さが抜けるからです。
数年前、サザンの桑田佳祐が浜名湖で野外コンサートをやった時のこと。「皆さん、せっかく浜名湖にきたのだから、うなぎを食べて帰りましょう」と言ったらしい。次の日、浜松のうなぎ店は大パニックになったと聞いています。